紀州漆器とは
2021年1月15日
室町時代、紀州地方に近江系木地師の集団が住みつき、豊富な紀州ヒノキを木地に木椀の製造を始めました。この椀木地に渋下地を施す”きゅう漆”の技が加わり、当時黒江の村里で盛んに作られていた渋地椀が紀州漆器の始まりと言われています。
江戸時代に入ると、庶民の日用品としての需要が高まるにつれて漆工も盛んになり、紀州徳川家のもと「黒江塗」と親しまれ渋地椀の一大産地として栄えるようになり、明治時代には廃藩置県後の新政の影響を受けながらも本格的な貿易の開始により、他県産の沈金彫の技術を導入したり、京都より蒔絵師を招いてさらなる改良を図るなどその技術を向上させ、昭和53年に通産省より伝統的工芸品の指定を受けております。
近年は、木と漆の工芸品のみならず、合成樹脂素材等を積極的に取り入れ、美しく丈夫で使いやすい日用品として消費者に愛されるとともに、和歌山県を代表する伝統産業としてさらなる発展を目指しています。